豪華客船でのナイル川クルーズ。 いつかは…と憧れている方も多いのではないでしょうか?
通常、大型のクルーズ船を利用することが多いナイルの旅ですが、私が利用したのは古代のファラオの目線でナイルの風景を楽しめるダハベイヤと呼ばれる小型の帆掛船。
さらに、私達ツアーメンバーだけでの貸切クルーズ旅でした。
そんな超レアな4泊5日の旅を、時間と共に移り変わるナイル川の景色や、船内・食事・立ち寄った遺跡(世界遺産:ハトシェプスト女王葬祭殿)などを含めてご紹介します。
ナイル川クルーズ4泊5日旅で巡った名所レポ
【4泊5日ナイル川クルーズの日程】
●1日目:デンデラのハトホル神殿を観光後→ 船(ダハベイヤ)に乗船。
●2日目:ハトシェプスト女王葬祭殿
王家の谷(ラムセスIV世の墓 ⇒ 特別入場:セティI世の墓 ⇒ 特別入場:ツタンカーメンの墓 ほか)
アラバスターの石細工を見学・購入
ルクソール神殿(サンセット&ライトアップ)
●3日目:カルナック神殿
エスナの水門通過
●4日目:ホルス神殿
ダハベイヤで夕食&さよならパーティ
デンデラにあるハトホル神殿を観光後、クルーズ船に乗り込みます。
乗船前には、楽器隊とダンサーの方によるウェルカムレセプションがありました。
これは、スーフィーダンス? タンヌーラ?というのでしょうか。
楽器隊にあわせて、頭上で重そうなマントのようなものをクルクルと旋回させます。
回転している傘のようなマントの下にみんなでキャーキャー言いながら入ってみたり。 盛りあがりました!
ハトシェプスト女王葬祭殿
クルーズ2日目の早朝、夜明け前に船を出発し、ハトシェプスト女王葬祭殿へ。
途中に立ち寄ったメムノンの巨象。巨象はどちらもアメンホテプ3世の像。本来は、この後ろにアメンホテプ3世の葬祭殿があったそうですが、後年のファラオに資材調達の為に崩されて、今は土地と瓦礫が残されているのみ。
とにかくデカイ。
古代の都・テーベ(現:ルクソール)やハトシェプスト女王葬祭殿・王家の谷の全景を上空から見ようと、日の出前からたくさんの気球が飛び立っていきます。
世界遺産:ハトシェプスト女王葬祭殿(別名:デル・エル・バハリ神殿)
日の出と共に訪れたので、またもや貸し切り状態でした。
岩山の断崖を削り取って造られたその姿は圧巻です!
太陽神アメンラーを祀った葬祭殿で、ハトシェプストの側近であり愛人であったといわれるセンムトが設計しました。
ハトシェプスト女王といえば、エジプト史上で唯一、女性でファラオ(王)になった人。
公式の場では、男装して付け髭をつけていたとか。
そして、その生涯や事績は、死後、何者かに壁画や碑文を削りとられてしまった為、謎に包まれています。
そんな背景が創作意欲を駆り立てるのか、「ハトシェプスト」「碧いホルスの瞳」「海のオーロラ」などなど、漫画でもよく描かれているので、日本人にはなじみ深い女王様かもしれません。
男装の女ファラオ。 宝塚のネタとして面白いと思うんですが。
葬祭殿は、お墓ではなく、儀式を行う場所だそうで、ハトシェプスト女王のお墓は、この葬祭殿を入り口として、断崖の向こう側にある王家の谷にあります。
お墓は、王家の谷に。
墓とは別の場所で1903年にハワード・カーターによって発見され、2007年にDNA鑑定で特定された女王のミイラは、他の偉大な王たちと共に、カイロ考古学博物館から国立エジプト文明博物館へとお引越しされ、その様子はTVで中継されました。
「ファラオの黄金パレード」
一大スペクタクルショーはエジプトの壮大なる歴史と底力を見た気がします。
エジプトが誇る歴史遺産で行われるパフォーマンスは素晴らしいの一言。ライトアップされたハトシェプスト女王葬祭殿は美しく雄大で一見の価値ありでした。
ハトシェプスト女王葬祭殿観光後は、王家の谷へ(撮影禁止)。
ラムセスIV世の墓→セティI世の墓→ツタンカーメンの墓に特別入場しました。
アラバスターの石細工の工房を見学。その後、船に戻って昼食をとり、しばし休憩タイム。
夕方、世界遺産:ルクソール神殿に出発。
サンセット&ライトアップされた美しいルクソール神殿を楽しみました。
エスナの水門
クルーズ3日目、早朝に船を下船し、世界遺産:カルナック神殿へ。
ルクソール神殿とはスフィンクス参道でつながっていたそう。私が訪ねた時は、まだ参道は修復中でしたが、2021年、修復が終了し現在は一般公開されています。
カルナック神殿観光後は、船に戻り、エドフに向けてクルーズを開始。
クルーズの途中、エスナの水門を通過しました。
もともと滝があったナイル川の高低差を調整するために行うとか。
私達はちょうど、夕方前くらいに到着。
クルーズ船によっては水門を通るタイミングが夜だったり、水門を通る船の渋滞に巻き込まれると、通過するまでに何時間もかかる場合もあるそうですが、タイミング良く待たずに入れました。
水門に入ると、水位が上昇していきました。時間にして2~30分ほどだったでしょうか?
進行方向の水位の高さと同じになると門が開き、再び船は進み始めました。
その間、ずっと船首で眺めていたのですが、なんだか不思議で飽きない、面白い体験でした。
クルーズ4日目、エドフに到着。馬車に乗って、ホルス神殿へ。
神殿正面にはハヤブサ姿のホルス神がお出迎え。
至聖所には、デンデラのハトホル神殿から妻ハトホルが年に一度、夫ホルスに会いにきたというお神輿があります。
この場所は、ファラオ(王)と最高位の大神官のみが入ることができたそう。
ホルス神殿から船に戻り、昼食、しばし休憩の後・・・
クルーズ船、最後の夜はさよならパーティーがありました。
船内のスタッフの皆さん総出でのダンスパーティー。旅の恥はかきすてとばかり、胸がゼーゼー鳴るほど踊りました。
最後は特大のケーキがお見送り。
見てわかりますよね… めっちゃ甘かった!!!エジプトのスイーツはなぜにあんなに甘いのか…
たくさんの温かいおもてなしを受けて、ダハベイヤでの4泊5日のクルーズ旅は終了しました。
荷物をまとめ、PM11時にダハベイヤを下船。その後、一路、アブシンベル神殿の太陽祭へ向かいました。
ナイル川クルーズで旅した帆掛船ってどんな船?
ナイル川クルーズといえば、豪華なクルーズ船を思い浮かべる方も多いかと思います。
今回、私が4泊5日のナイル川クルーズにて利用したのは、ダハベイヤと呼ばれる小型の帆船でした。
帆掛け船とは、文字通り、帆をはって、風の力を利用して進む船です。
こちらが実際に私達が乗船したダハベイヤ。
エジプト出発前の事前説明の時に、もしかすると造船中の新しいダハベイヤに乗れるかもしれない、との事だったのですが、ジャスト間にあいました!
この旅が処女航海となる、新品ピカピカのダハベイヤちゃんです。
この船、エンジンはついていません。
動力は、ナイルをそよぐ風と、右側にある小さなボート。このボートにロープを繋げ、ダハベイヤを引っ張るんです。
前方にいる小さなボートが見えますでしょうか?
ロープで引っ張る…非常に原始的な動力で進むダハベイヤですが、エンジンがついていない為に、モーター音もなく、エンジンによる揺れもなく、乗り物酔いもありません。
とっても静かに進むのです。
水面を滑るように移動するダハベイヤは、大型のクルーズ船とは違って、入ってくる景色の視点がとても低いんです。
古代のファラオ(王)達は、こんな風にナイルの両岸の景色を眺めていたんだろうなー、と
数千年前の人々の目線でナイルくだりを追体験できちゃう、なんとも優雅な船旅なのです。
そんなダハベイヤを、私達ツアーメンバー9人で貸し切りです。
帆掛船の船内やお部屋
船内はというと…
デッキにはナイルの風を感じながら、うたた寝できるリクライニング可能なデッキチェアーが。
小さなプール? ジャグジー?もありました。
時期的に寒くて入れなかったですけど、肌寒い日はお塩を入れて足湯とか、夏の灼熱の時期には身体を冷やしたり、気持ち良いでしょうねぇ…
食事や午後のティータイムを楽しめるテーブルエリア。全方向からナイルを眺めることが出来て、揺れないし、見晴らしも良くて最高。
陽気の良い昼間や夕方にはルーフデッキで、朝食や夕食など、冷え込む時間は船室の食堂で食事をとりました。
お部屋はメゾネットタイプ。2人で利用しました。
それぞれのフロアにベッドが1つとトイレ、バスルームがあって、部屋の中にある階段で上り下りします。
室外に出るドアも各階にそれぞれあり、メゾネットなだけで、ほぼ個室のような仕様。窓もあり圧迫感も無し。
2階のお部屋には、小さなバルコニー付き。甲板エリアよりも、水面がより近く感じられます。
このツアーは、ほとんどの人が1人参加だったので、ホテルのお部屋は、宿泊先によってルームメイトが変わりました。
4泊の旅のうち、1階に2泊、2階に2泊と交代で過ごしましたが、1階だと階上の音が響いたので、2階のお部屋のほうが良かったですねぇ。
帆掛船から見える景色
ナイル川は、大型、小型、たくさんの船が行き交います。
ナイル川沿いを走る列車も発見しました。
昇る朝日と共に、どこからともなく聴こえてくるコーランの声
ナイルを進みながら、昇る太陽の力強いエネルギーを浴び、沈む夕陽を眺め、岸辺のネオンが美しい夜景を楽しみました。
船内では、おもいおもいに自由行動でした。
ナイルを眺めながらお茶を楽しむ人、船内で休む人、洗濯をはじめる人、勉強をする人(笑 参加者に高校生がいたんです)
デッキチェアーで即席マッサージ大会が開かれ、ヨガや瞑想、シンギングボウルによる演奏も。
夜、船は停船します。
虫の音が聞こえるほどに静まりかえったナイル川で、ちょうど満月を迎えました。
船室から出て毛布にくるまり、寒さに震えながら、一人、この美しい満月を眺め、月光浴をしました。
帆掛船で食べられる食事はどんな料理?
船内の食事は全てビュッフェ形式。
このツアー会社は食へのこだわりがすごくて、ダハベイヤでの食事は
- 水
- 油
- 食材の鮮度
- 衛生面
全てを日本人の目線で事前にチェック・管理したという「エジプト家庭料理」が提供されました。
また、紅茶文化であるエジプトでは美味しいコーヒーは望めないので、コーヒー派の方は自分好みのインスタントコーヒーを持参するようにと事前のアドバイスがあったのですが、
船ではこだわりの豆で淹れたコーヒーの提供もありました。
エジプトの家庭料理が楽しめるビュッフェ
どうですか?
サラダやスープ、コールドミールにホットミール、各種フルーツや豆やお米やパン、お魚や、チキン、牛、鳩、子羊などのお肉料理、そして、たくさんのお野菜を使った副菜がズラリと並び、毎日、大興奮でした。
お魚料理は揚げたものや、蒸し焼きのようなものも。とてもあっさりした味付けでした。このお魚はナイルで調達したのかな?
モリモリに盛ってます。
・きゅうり、トマト、紫たまねぎ、コリアンダーなどが入ったサラダ
・なすに野菜や肉を詰めこんだもの
・ひよこ豆のタヒニ(ごま)ペースト
・ご飯に細かいパスタやフライドオニオンが混ざったコシャリ などなど…
軽く食べたい時は、フレッシュジュースにフルーツ、ヨーグルト、焼き立てパンなどのラインナップを。
このクルーズは、13日間の旅程の中で6日~9日目にあたりました。
そろそろ、旅のメンバーの中にも、慣れないスパイスで食欲が無くなる人、調子を崩す人などが出てきたりしましたが、そんな時でもビュッフェに新鮮な果物やジュースがあったことで、体調の調整がしやすかったですね。
船内でも日本食が食べられる?
この旅は、夜が明ける前に観光に出発する早朝行動がほとんどだったのですが、朝や夜は船内にある食堂で食事をとりました。
ツアー会社の方が気をきかせて、白いご飯や漬物、梅干しなども用意してくれていて、それぞれに持参したインスタントの味噌汁や味付け海苔、昆布茶などをみんなで分け合って食しました。スパイスが苦手な人達は、喜んでいましたよ。
私は、スパイスも大好き、エジプトのご飯も口にあったので現地飯をむしゃむしゃ食べましたが。
実は私、食事があわなかったときの為にと、日本から大量のお菓子やごはんのお供、カップラーメンやうどんを持参していっておりました。
大量ってどのくらい?と思うでしょう。 その量、まさかの大型スーツケースの片側全部。
個人的に食の不安も無くなったので、このクルーズ船で、それらを大解放しました。
旅のメンバーが集まり、デッキで即席日本食パーティー。 これも少人数貸し切り船ならではの醍醐味。
ナイルを眺めながら、うどんやそばをすすり、おせんべいやお茶、羊羹やあんこ(袋に入った業務用)に舌鼓をうつ。
古代に想いをよせ、悠久の風を頬にうけながら、ナイルであんこ。
このミスマッチ体験にみんなでゲラゲラ大笑い。一生忘れられない、旅の良き思い出になりました。
日本のお菓子や食べ物はエジプトで人気があるそうで、船内のスタッフの方にも御裾分けしました。喜んでいましたよ。
まとめ
広いエジプトを周遊する旅は、どうしても移動の時間が長くなり、慣れない食事や水、熱い日差しや朝晩の温度差等で体調も崩しがちです。
そんな時、クルーズ船での旅は、一つ処に荷物を置いて遺跡観光ができ、また、調子が悪いときには船内のベッドで休憩ができたりと、のんびりと自分のペースで身体を休めることができました。
食事もビュッフェ形式だったので、食べる量や好みを調整でき、体調の管理がしやすかったです。
今回、私が利用した帆掛船ダハベイヤは、こじんまりとしたアットホームな船でしたが、その分、古代エジプト人が当時のナイルを旅した時に見た景色と同じような目線で、ナイルを楽しむというレアな体験をさせてもらいました。
特別なエジプト体験を提供する旅をテーマにしたツアーに参加し、このダハベイヤでのナイル川クルーズは目玉のひとつだったわけですが、期待以上の、一生の思い出に残る船旅となりました。
大型客船での豪華なクルーズ旅もすてきですが、こんなナイルの楽しみ方も一興ですね。
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